ジュール・ヴェルヌの『十五少年漂流記』。これは、様々な年齢、国籍の少年たちが漂流して、未知の無人島にたどり着き、みんなで強力してサバイブする物語である。
大人から切り離された状況においても、少年たちは立派に小さな社会を作り、無人島生活を送る。
学生時代は不登校で、普通の集団生活をも送らなかった僕には、この作品は感じるものがある。
終盤にはみんなが団結し、仲間の罪を許し、大きな敵に立ち向かう勇気を得る。
作者のジュール・ヴェルヌは、物語の最後をこう締めくくっている。
どんなに危険な状態におちいっても、秩序と熱心と勇気とをもってすれば、切り抜けられないことはないのである。…中略…少年たちは、いろいろな困難によって鍛えられたために、国に帰ったときには、下級生は、ほとんど上級生のように、上級生はおとなとおなじように、りっぱな人間になっていたのである。
考えてみれば、僕は不登校になって大人になるまで、秩序と熱心と勇気がすこしでもあったろうか。
中学のとき、久々に学校へ行くという時は多少なりとも勇気を必要とした。それぐらいだ。
学校へ行かないことは悪いことじゃないし、辛いなら休むべきだ。死ぬくらいならなおさら。
でも、そのあとのフォローは大事だ。いつまでも秩序と熱心と勇気を持たないままであったゆえに、僕は大人になった今、社会生活や集団行動、人と関わることが辛い。
人の輪に入ることを避け続けたから、息苦しいのか、生来の性質からきているのかは実際のところ分からない。
僕はとりあえず、それを個性として受け止め、開き直ることにする。